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2008/08/03 作成、2009/04/07 更新

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88鍵キーボード、ensoniq KS-32

今回のオーバホール機器は、ensoniqのKS-32です。かれこれ 13年以上使っています。 既にメーカ側にも修理パーツが残っていない代物ですが・・・。 ピアノを習ったことがある人なら判ると思いますが、 鍵盤楽器は長年弾き続けると、徐々にキータッチに違和感を感じるようになります。 最悪の場合、押したキーが戻らなくなることも・・・。 これはピアノに限らず、オルガンやシンセでも同じです。 シンセの場合は、キーを叩いた強さによって音量をコントロールするベロシティと 一度キーを叩いた後に、後からプレッシャーをかけるアフタータッチという 2つの音量コントロール機能があります。

今のKS-32には、この2つの機能に支障をきたして、 軽く叩いても大きな音が出てしまうキーと、 キー自体が重くなって均等な強さで叩けないキーが 合わせて3箇所ほどあります。 今回は、これをオーバーホールで修復します。

まずはフロントパネルを開きます。この時点で既に多数のホコリが貯まっているので、まずは掃除機で綺麗に吸い取ります。

続いてキーボード本体から、鍵盤部だけを取り出します。普通の61鍵シンセなら総重量でもせいぜい10kgぐらいですが、KS-32はライトウェイトとはいえピアノタッチの76鍵なので 20kg近くあります。なかなかたいへんな作業ですよ。

鍵盤部には手書きのシリアルナンバーが張られていました。 MADE IN ITALY、Fatar社製です。製造日は、1995年。ちなみに、キーを止めているスプリングが二色に分かれていますが、金色が黒鍵用、銀色が白鍵用です。 白鍵用のスプリングの方が黒鍵用のスプリングより強く作られているので、外した後、元に戻すときには間違えないように注意が必要です。

続いて76個の鍵盤を全て取り外すのですが、案の定、キーの下には大量のホコリが貯まっていました。これもベロシティが正常に動作しない原因になるので掃除機で全て綺麗に吸い取ります。

続いてピアノで言うところのハンマー部を取り出します。シンセはもちろん弦が無いので、実際にはウェイトしか付いていません。これを1つ1つ分解します。

上段は正常なもの、中段は足が欠けてしまったもの、そして下段は・・・・割れてる!!

これが原因だったか。 欠片を集めて修復しようと思ったものの、細かく粉砕したせいか復元できそうにない為、断念。 幸い1個のみなので何とかなるでしょう。足が欠けているものは全部で8個見つかったけど、こっちは演奏には支障がないので、清掃後にそのまま戻します。フェルト部分もかなり擦れて薄くなっていました。

←これが完全に分解した状態です。どのパーツもホコリや汚れが目立つため、ひとつひとつ綺麗に拭き取ります。ここまででえらい時間がかかっています・・・。メーカにオーバーホールを頼めば、こんな苦労はしないのですが、結構いい値段を取られるんですよね。

綺麗になったところで再び組み立てです。取り外しは、白鍵→黒鍵、組み立ては、黒鍵→白鍵の順です。キータッチに問題が無いことを確認しながら、ひとつひとつはめていきます。

組み立てが完了したところで電源投入。ベロシティとアフタータッチが正常に動作していることを全76鍵について1つ1つチェックしていきます。ウェイト部分が1つ折れてしまったので、使う機会がほとんどない、一番上のGのキーだけウェイトを付けていません。これだけ綺麗にしても、新品のようなキータッチには戻りません。やっぱり押し込む時にやや感触が重かったり、擦れるような音がするところがあるのですが、それでも何とか弾ける状態にまでは回復しました。

いつか買い換えるときがくるとは思いますが、その日までもう少しKS-32に頑張ってもらいます。

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