2006/04/23 作成
4日目:絶景のサロベツ原野
朝 6時、カーテンを開けると薄い曇がかかっているものの、今にも青空が広がりそうな気配です。早々に荷造りを終えると再び北へ向けて出発します。直線距離ならここから稚内まで200kmですが、少し寄り道をしながら行きます。
国道40号線を20kmほど走ったところで名寄市内に入ります。ここでちょっと国道を逸れて名寄バイパスを走る。ここは全長わずか 2kmの無料高速道路です。すでに開通している和寒から着工中の稚内までの高速道路のうち先行して建設済みの 2kmだけが無料で開放されています。
こんなところに高速なんていらないですよ。だって高速道路建設のために大量のトラックだけが下道を走っているですよ。トラックさえいなければめちゃめちゃ空いてる道路です。
←は、JR宗谷本線の音威子府駅です。
名寄にも大きなひまわり畑があるのですが、北竜町よりさらに北のこの地で咲いているわけがないのでパスです。
美深、音威子府を通過してさらに北を目指します。途中、天塩川と併走する辺りからかなり気持ち良いのですが、中でも佐久を越えた辺りからが最高です。周辺に高い山が存在しないので360度見回すことができるので、もうひときわ空が広い高く感じます。もの凄い広大な大地の中を走っている気分になり、めちゃめちゃ気持ち良いです。こんなに広い空があったんだと、ちょっと感激。
点在する牧草ロールもいかにも北海道という感じですね。やっぱり北海道はこうでなくてはいけません。高速の上を走っていては、この感激は味わえないですよ。
稚内まで残り70km辺りで国道の左手には「サロベツ原野」が広がってきます。まずは「下サロベツ原野園地」へ立ち寄より、展望台に登ってみます。どうだ~~~~~~、と言わんばかりの見渡す限りに広がる広大な湿原、圧巻です!!
ここは小さな沼の上に 1周 1km弱の小さな木道が整備されています。
さっそく湿地へと入ってみるます。空の青、雲の白、湿地の緑のコントラストが凄い鮮やかです。
この周りには、山が全く無いのですが、地平線の先にひょっこりと出ている山が1つだけあります。海を越えた利尻島の「利尻山」です。空に溶け込みそうなその姿が非常に絵になる景色でした。
さすがに原生花の開花時期は過ぎているものの、それでも所々に紫色のヒオウギアヤメが咲いていました。
天候にも恵まれたおかげで、北海道の大自然を満喫することができました。
続いて、「名山台展望台」へ。ここからはパンケ沼が見えるはずなのですが、木が多い茂っていてよく見えません。
仕方がないので麓まで降りると、駐車場脇のレストランに入り昼食を取ることにしました。壁に書かれたメニューの中から、「天塩しじみラーメン」を注文。出てきたのは、キャベツの上にしじみが盛られた塩ラーメンでした。麺は極普通のラーメンですが、しじみの塩味が美味しいです。
ラーメンを食っていると、途中で追い抜いたチャリダーが駐車場に入ってきました。追い抜く際に軽く挨拶もしていたので話しかけてみると、彼は新潟から自走して来たそうです。すでにここまで1000km以上走っているそうで、凄いですね。それに追いつくのが早いです。彼の話では、北海道には女性のチャリダーも結構走っているそうです。
お腹が満たされたところでさらに北へ走ります。広大なサロベツ原野は、まだまだずっと道の先まで続いています。
徳満で脇道に入り「宮の台展望台」へ行きます。小高い丘の上の展望台へ登ると、サロベツ原野を見渡すことができます。ここまでくると利尻島の姿もかなり大きくなってきました。それにしても、この湿地帯はでかすぎです。
ここからR1118、R763、R444と上サロベツ原野の中を北へ南へ走ります。この辺りは交通量がほぼ0なので、じっくり自然を堪能でます。
が、虫が多い!! バイクもメットも激突した虫の死骸でたちまち汚れていきます。小さな虫でも高速で激突すると結構痛いものです。
そうそう、豊富のホクレンで補給するとレシートの宛名が「上 様」ではなくて「サロベツを走るライダー様」になっています。なかなか洒落ていますね。車の場合は「~ドライバー様」になっているのかな?
続いて「サロベツ原生花園」に行きました。原生花園といっても富良野のように花が咲き乱れているわけありませんが、それでもアヤメやキスゲを見ることができます。
しかし、ここは花よりもこの一面広がる湿地だけで充分です。このただただ広い湿原を見ているだけで、ゆったりした気分になれます。
この広大な大地の上で横になってしばらく昼寝でもしたいですね。
豊富のガソリンスタンドで補給を済ませると、北海道の西端「オロロンライン(R106)」で一気に北端を目指します。
日本海に浮かぶ利尻島を左手に見ながらひたすら北へ北へと続く直線道路を疾走します。この道路がまた見事な快走路なのです。右を見ても左を見ても視界を遮る物が全くなく、広大な大地を北へと伸びる1本の道路だけが存在します。間違いなく、北海道の中でも五指に入る道路です。
途中、自分と同じように車を止めて利尻島を撮影しているおっちゃんに会いました。話を聴くと 7月 4日から北海道に入ってからずっと撮影を続けているそうです。ちなみにこのおっちゃんは常に三脚を持っていて、セルフタイマーで自分の写真を撮っていました。こういう記念写真の撮り方もいいですね。目的地は同じなのでまた会えそうなので、一旦別れます。
稚内が近づくに連れて徐々に風が強くなってきました。と言うか、もの凄い強風です。海から陸地へ向けて吹き付ける風にあおられまくって真っ直ぐに走るのも困難になってきました。やっぱり重量のあるバイクでないと辛いですね。さらに最端が近づくと今度は急激に気温が下がってきました。徐々に気分も高揚してきます。
そしてついに「ノシャップ公園」に到着です。野寒布岬名物のイルカのオブジェがお出迎えしてくれます。現在時刻は、16時。日没まであと 3時間弱ほどあるので、いったん稚内市内に入り宿にチェックインします。
今日はこの旅唯一の夕食・朝食付きの宿です。少々古めかしい宿でしたが、やっぱり港街だけあって食事は豪華です。タラバカニの足×2+はさみ×1、魚の煮付け、焼き鮭、刺身、鮹しゃぶしゃぶ、鮭の吸い物、もずく、タコ酢、等々。食事の内容も量も申し分無しです。今日は天塩のラーメンしか食べていなかったので、このボリュームにもかかわらず全部美味しく頂きました。
18時30分になったところで、再び野寒布岬へ向けて出発します。岬にはすでに十人弱の人が落日を待っていました。その中にはあのおっちゃんもいますた。
自分も公園の片隅に腰を下ろして、じっくりと日の入りを待ちます。時間が経つにつれて岬は徐々に人が増えてきました。そして、太陽が海面に近づいた頃、西の空が鮮やかなオレンジ色に染まります。
野寒布岬の落日は綺麗です。あいにく水平線際に雲がかかっていたため、日が落ちる瞬間は見えませんでした、それでも鮮やかな夕焼けを見せてくれました。埠頭の片隅に座ってずっとこの景色を眺めていました。
太陽が完全に沈んだところで、再び宿に戻って就寝です。
5日目:宗谷岬からオホーツク海を南下
朝 7時、宿で朝食を頂きます。おひつでご飯がくるとついつい食べ過ぎてしまいますね。朝から満腹状態で出発です。今回の旅の目的地、最北端「宗谷岬」はもうすぐそこです。
宗谷岬を目指す前に、稚内駅に立ち寄ります。言わずと知れた日本最北端の駅です。駅舎の裏側に回ると、そこには車止めがあります。ここが日本の線路の一番端っこです。ここから最南端西大山駅まで線路が続いていると考えると凄いですね。その距離は約3,100kmあります(ルート計算方法により3,120~3,170kmになるようです)。
さすがに電車の本数も少ないですね。
1日9本しかありません。
稚内市内から国道238号線で宗谷岬を目指します。ここは宗谷岬までゆったりと左にカーブしているため、青色の海面が鮮やかな宗谷湾を眺めながら走ることができます。風はやっぱり強いですね。特に上空の風は強いようで、路面には進行方向とは逆方向に雲の影が凄い勢いで走っていきます。
この辺りも景色が良く絶好の快走路ですね。強いて言えば、電線が邪魔ですが。
あまりにも海が綺麗なので、時よりバイクを停めて砂浜まで降りてみました。
昨日に引き続き今日も天気が良いです。空も海も清々しい青色です。
ここまでくれば宗谷岬は、もうすぐそこです。
稚内から約30km、ついに最北端「宗谷岬」に到着しました。
石碑の前までくると、おばちゃん達の団体さんが占拠していました。記念撮影が終わるまで、しばらく待ちます。
それにしても寒いです。ライダーはジャケットを着ているので問題ないのですが、観光バスから降りてくる観光客の中には半袖姿の人もいてかなり寒そうです。
記念碑の前で記念撮影を終えると、すぐ近くのガソリンスタンドで燃料補給。これで最南端と最北端のガソリンスタンドも制覇しました。この最北端の出光SSで補給すると証明書と記念品がもらえます。ちなみに最南端では何ももらえません。ただ、レシートには「最南端」と記載されています。最南端のSSは、ここと異なり凄い寂しいところで閑古鳥が鳴いていました。
ここからは、180度方向転換して一路南端の「襟裳岬」を目指します。宗谷岬から襟裳岬は直線距離でも約450km。苫小牧からここまで北海道をひたすら北へ縦断してきたが、今度はオホーツク海岸沿いに北海道を時計回りに走ります。
浅芽野を過ぎたところでちょっと寄り道をして「モケウニ湖」に立ち寄ります。
ここは牧草地の真ん中に存在する沼です。さすがにここまでくる観光客は誰もいません。沼までは約300mの木道が続いています。小さな尾瀬沼といった雰囲気です。
ここは結構穴場ですね。人であふれかえっているような観光地にはうんざり、という人にはお勧めの場所です。
あいにく少し天気が曇ってきました。
さらにオホーツク海を左手に眺めながら「宗谷国道(R238)」を疾走します。宗谷岬ではあれほど寒かったのに浜鬼志別をすぎた頃には、再び気温が上昇してきました。
さらにもう少し先へ行くと「ベニヤ原生花園」があります。ここも開花時期からは少し日が経過していた為、訪れる人がほとんどいません。辺り一帯は、たんぽぽの花で埋め尽くされていました。
ベニヤ原生花園のすぐ先には「クッチャロ湖」があります。
ここは白鳥の飛来地で有名ですが、さすがにオフシーズンとあってここも観光客はほとんどいません。この頃には、薄雲も晴れて青空が広がり美しい湖面が開けていました。
さらに 10kmほど南下すると「神威岬」がります。海の色が怪しいくらい鮮やかな青色をしています。宗谷岬からずっとオホーツク海を眺めながら走ってきましたが、ここにくるまでに海面の色が青→緑→青に変化していました。この辺りの海面は透明度が高く青紺色が特に美しい場所です。
神威岬のように時より国道から1本海側の細い通りに入ると絶好の快走路だったりします。
さらにさらに、30kmほど南下したところで「道の駅マリーンアイランド岡島」へ立ち寄り、昼食をとることにしました。
ここにもしっかりと海鮮メニューがあります。と言うか、北海道は海鮮メニューが存在しない店の方が少ないですね。注文したのは「海の幸ラーメン」。もちろんカニ、エビ、帆立の貝柱入りです。どれも身がでかい~♪
ここは有名店でもなんでもなく、単なる道の駅に併設されている食堂なのですが、それでもこんなメニューが出てくるところさすがは北海道。
さらにさらにさらに、ひたすら南へ走り続け、日の出公園、紋別公園にたどり着きました。
気が付けば時刻は既に16時過ぎ、残念ながらオホーツクの流氷館は閉館していました。
ここまでいろいろと立ち寄りながら来たので仕方がないかな、と考えながら歩いていると、怪しげなオブジェクトを発見。
見たまんまです(笑)
さらに、60kmほど南下したところで、やっと今日の最終目的地「サロマ湖」へ到着です。
今日の宿はこの旅行で一番良いホテル「サロマ湖東急リゾート」。他の宿に比べるとちょっと値が張るけどやっぱり綺麗なホテルです。部屋はダブルなのでゆったりくつろげます。何故わざわざここを選んだかと言うと、狙いは落日です。このホテルはサロマ湖の東端に位置するため、ホテルの前からじっくり夕日を観賞することができます。
18時を過ぎた頃からゆっくり太陽が湖の端へ沈んでいきます。昨日に引き続き、水平線には若干雲が存在しましたが、綺麗な夕日を堪能することができました。
できれば秋風に誘われてもう一度ここへ来たいですね。